つべつ町取材日記<シゲチャンランド編>
投稿日: 2016/09/15
津別町取材は、7月9日(土)〜12日(火)の
3泊4日で行われました。
編集長・成田、副編集長・首藤、
デザイナー・辛嶋のいつものメンバーと、
カメラマンは大社(おおこそ)さんという、
オール女性スタッフ。
そこに今回の津別町企画のきっかけを作ってくれた
コーディネーターの仲尾さんと、
津別町役場の高橋さん、田古(たふる)さんも加わる
『つなぐ通信』としては大所帯。
連日びっしりのスケジュールで、
車2台で、津別町を駆け巡りました。
誌面には入りきれなかった、面白い話や津別町の魅力を
ぜひお伝えしたいと、
「つべつ町取材日記」をスタートさせることに。
まずは7月12日の最終日に訪れた
「シゲチャンランド」です。
「シゲチャンランド」は、
アーティストの大西重成さんが
2001年、故郷の津別町に開設した私設美術館です。
70年代・80年代の大西さんの活躍ぶりを知っている
デザイナーの辛嶋さんは
「え〜っ、本当にあの大西さん!!」と大興奮。
リスペクトしている大先輩ですので、
会うのをとても楽しみにしていました。
この日は最高に晴れ上がった真っ青な空と、まぶしい緑、
そして「シゲチャンランド」の真っ赤なハウスが
実にエキゾチック!心躍ります。
しかも大西さんの数え切れないほどの作品は、
私たちの想像を超えたクォリティの高さと面白さ!
スタッフ全員、取材も忘れ、
ハウスを夢中に歩き回って、興奮しっぱなしです。
ここは牧場跡地をリノベーションして作ったミュージアム。
最近では見られなくなったサイロや、
倉庫などが利用されています。
各ハウスには「目」「口」、「右手」「左手」など、
体の一部の名前がつけられています。
とにかく発想が豊かでユニーク。
朽ちた木材や骨などの自然素材だけではなく
缶やピンの蓋、ビニールボールなど
「えっ、こんなものが!?」というガラクタが
大西さんの手にかかると、
とんでもない“イキモノ”になってしまい、
まさに「ヤラレタ〜」なのです。
大人もお年寄りも、顔が緩みっぱなし。
本当に素敵なワンダーランドです。
大西さんが考案したユニークなものが「卓上慰霊碑」。
お墓を手に入れにくい時代なので、
インテリアにもなる“ハンディタイプのお墓”を
思いついたのだといいます。
生前に用意していただくもので
正面に本人の写真プレートを差し込み、
中の方には思い出の品などが入れられるようになっています。
「予約いただければ、丹精込めて作りますよ」
「ペット葬にも向いているかもしれませんね。
もっと本気になったら商売になるんでしょうけどね(笑)」
そういう“商売っ気”が、
大西さんの苦手なところかもしれません。
今回の取材で大西さんがずっと手にしていたのが
手作りの大きなパイプです。
くるみの木で作ったもので、くるみは硬く油分があるので
使うほどに光沢が出てくるといいます。
握りやすそうで、いい味を出しています。
畑や森が広がる緑がまぶしい奥の敷地にも
まるで“お堂”のような「耳(Ear House)」や、
「骨(Bone House)」と名付けられたハウスがあります。
こういう「きれいな骨」にするまでの作業も大変なようですが、
大西さんは、「生きることも死ぬことも受け入れる
“リアリティ”が面白い。それが『生きる力』であり
『創作の力』になる」といいます。
「シゲチャンランド」で、スタッフが感動したのが
真っ赤な“おもちゃの家”のような「トイレ」です!
中に入るとまるでホテルのようなしつらえで、
ハンドタオルが1枚1枚きれいに置かれており、
しかも「和」のテイスト。
「シゲチャンランド」の“おもてなし”です。
なんかこのゆったりした空間で
お茶を飲みながら、ずっと過ごしていたくなります。
これは、大西さんの奥さんのココさんの好みらしいです。
・・大西さんとココさん。素敵なご夫婦です!
(写真:大社カメラマン)・・
「シゲチャンランド」は、約8,000坪の敷地に
14のハウスがあり、ほとんど大西さんと奥さんのココさんの
2人で手入れをし、運営しています。
草刈り、虫取り、雪かきなど、やることは山ほど。
長年のハードワークで、
体にも障害が出てきているようですが、
お互いいたわりつつ、暮らしています。
ココさんに猛アタックして結婚したという大西さん、
二人はお互いなくてはならない最愛のパートナーです。
こんな夫婦でありたいな、こんな風に歳をとりたいな・・・
ここはシゲチャンとココさんのパラダイス。
「また来たい!また会いたい!」
みんながそう思って「シゲチャンランド」を後にしました。
・・「シゲチャンランド」の看板のようなところで、
最後に記念写真!(写真:大社カメラマン)・・
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【文・写真:成田典子】