つなぐ通信:人や文化をつなぐカルチャーマガジン

「押上よしかつ」取材日記V0l.1

投稿日: 2017/12/15

店主が自分の足で探し回って集めた
ほとんどが東京食材を使用した居酒屋さんが
押上にあると聞いて、9月27日に
編集長・成田、副編集長・首藤が事前取材
(単に呑みに行きたかった?)に出かけました。
駅から近いところなのに方向音痴の二人は
迷いに迷って途中でタクシーを拾って到着!
そんな珍道中から始まった「押上よしかつ」の
事前取材の話から・・・


⬆️店主の佐藤勝彦(かつひこ)さんと奥さんの
佳子(よしこ)さん。
「よしかつ」の名前は、お二人の名前をとったもの♪
(写真:大社カメラマン)


⬆️押上の駅を降りると目の前にライトアップされた
巨大なスカイツリーが!
これだけでテンション上がります!


⬆️店はかつてメリヤス工場だった佳子さんの実家。
東京の下町はニット工場が多かったのですが、
いまでは随分少なくなりました。
店の前には東京の地酒や、江戸東京野菜などの
幟(のぼり)がたくさん。
店の前にある車やバイクでいつも仕入れに出かけます。
飾りっ気のない入り口が、店主の気質を物語るようです。


⬆️入り口には「東京を食べよう」という看板があり、
その奥には「緑提灯」が掲げられています。
「緑提灯」は、国産自給率をあげようと、
小樽から始まった運動で、国産や地場産品を
50%以上使っている店に掲げています。
★の数で使用量がわかるようになっていますが、
あくまでも自己申告。
「よしかつ」ののれんは、店主が江戸東京野菜の一つである
檜原村(ひのはらむら)の伝統野菜「おいねのつる芋」を
デザインして、檜原村の「染工房シゲ田」さんで
染めてもらったもの。
のれんに店の名前を入れなかったのも、
店主のこだわりのようです。


⬆️店主の佐藤さんは、いきなり訪ねた私たちにも丁寧に
いろんなことを説明してくれました。
「よしかつ」では東京産がない場合は、
原材料が国産のものを使用します。
植物油には、菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、
ゴマ油、こめ油などがありますが、唯一国産原料で製造
しているのがこめ油(米ぬか油)。
しかしこめ油も米ぬかが韓国とか東南アジアなどの
輸入物があるので注意。
「農協のものは間違いなく国産品です」と、
教えてくれました。


⬆️お店は、基本的に奥さんの佳子さんと二人で
やっています。佳子さんは割烹着に着物姿の
下町のおかみさんスタイルがよく似合います。


⬆️何はともあれビールから!オススメ頂いたのは
「TOKYO BLUES」と「TOYODA BEER」
どちらも日本酒の「多摩自慢」で知られる
福生の石川酒造で製造されているものです。
2つともすっきりした今のビールとは違う、
レトロな味というか・・・複雑なコクや苦味がある、
なんとも言えない大人の味わいです。


⬆️「TOKYO BLUES」は、コクと香りを出す
レイトホッピング製法で造られたクラフトビール。
多摩自慢の仕込みにも使われる
秩父山系の伏流水を使用したものです。


⬆️「TOYODA BEER」は、明治19年(1886)
日野市にあったビール工場で造られていた
多摩地域最古の銘柄を復活させたもの。
地元で大麦を栽培し、下面発酵で低温で、
ゆっくりと約ひと月かけて醸造したものです。
麦踏み体験など地元小学生なども巻き込んで
町おこしにも一役買っているようです。


⬆️次は何といっても日本酒でしょ!
オススメ頂いたのは秋が深まるこの季節ならではの
「ひやおろし」。「多摩自慢」のひやおろしと、
福生の田村酒造場の「黄泉」のひやおろし。
水が良いせいか、福生には酒造が多いようです。
美味しい日本酒だったので、おかわりも!


⬆️「よしかつ」の自慢は、東京の島嶼(とうし
ょ)の島焼酎がふんだんに揃っていること。
大島から八丈島、青ヶ島、地図に入りきれない
小笠原諸島の父島や母島などの焼酎や、ラム、
リキュールなども。
東京で青ヶ島の「青酎」が全部揃っているのは、
青ヶ島の居酒屋と「よしかつ」くらいと自負。
残念ながらこの日は焼酎までたどり着けず、
飲むのは次回を楽しみに♪



⬆️お酒のストック棚には珍しい焼酎がずらり!




⬆️店主の佐藤さんは、ワインのソムリエから、
日本酒の唎酒師、焼酎アドバイザー、野菜ソムリエなど、
とにかく勉強熱心で、いろんな資格を習得。
お酒のこと、野菜のこと、東京食材のこと、
生産者さんのことなど、知識豊富なので、
わからないことはとても親切に教えてくれます。
「地産地消」を広めていくことを
使命と感じている方なのです。


⬆️テーブルには東京産のお菓子が置いています。
これはサービスで自由に食べていいようです。
嬉しい〜♪


⬆️「よしかつ」が力を入れている一つが江戸からの
伝統野菜である「江戸東京野菜」です。
店内には江戸東京野菜を描いた絵やパンフレット
が置いています。


⬆️この日は、東京食材を堪能するベーシックセット
「椿(1人 :¥1490)」を注文しました。
かなり品数があり、しかもボリュームがあるのにびっくり!
先ずは江戸東京野菜や東京地場野菜のお漬物。
滝野川ゴボウ、酢漬けの早稲田ミョウガなど。
「よしかつ」では、塩は青ヶ島の「ひんぎゃの塩」を使用。
火山の地熱を利用して結晶化したミネラルたっぷりの塩で、
にがりが多いので豆乳に入れると固まってしまうといいます。
値段は普通の塩の25倍くらいする高価な塩ですが、
(といっても大した値段ではないですが)
漬物の下地に使うととても美味しく、肉はこの塩だけでも
十分美味しいといいます。後日、副編集長は、
この塩を『つなぐ通信』の読者プレゼントに決定!


⬆️左のふわふわの卵焼きは、無添加の天然餌に
こだわった、町田市の養鶏場の小林養鶏農園
「さくらたまご」を使用したもの。
右は、東京豆富のあんかけ。ただ東京産だけでな
く、美味しいものを選りすぐっているところがす
ごい!文句なしに美味しいです!


⬆️本日の日替わり一品は、東京産ピーマンと、
今年最後という寺島ナスを、赤酢で味付けしたもの。
江戸時代から続いているという赤酢は
初体験だったのですが、美味しくで後日購入!
バルサミコに似た感じで調理できると、
店主の佐藤さんに教えていただき、
その後我が家の台所に欠かせない調味料に!



⬆️「椿」のセットには、2品のお刺身がつきます。
この日は、八丈島の金目鯛と奥多摩のヤマメ。お
刺身は身が厚く大きく、1切れでも食べ応え十分!
ワサビは丁寧に擦った奥多摩ワサビ。そのまま食
べても美味しいのです。


⬆️「よしかつ」は、もともとは墨田区鐘ケ淵に
もんじゃ・お好み焼きの店としてオープン。
しかし、もんじゃの店では、100%国産の食材が使えないと
いうジレンマがあり、今のような居酒屋になったといいます。
とはいえ、もんじゃももちろんメニューにあり、
テーブル席は鉄板焼きができるように。
かなりお腹がいっぱいでしたが、
やっぱり、シメはもんじゃで!
店主の人柄といい、料理といい文句無しの「よしかつ」を
『つなぐ通信』Vol.17で取材することに決定!

<つづく>



【文・写真:成田典子】

カテゴリ:取材秘話・裏話の投稿 | コメント(0)

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