つなぐ通信:人や文化をつなぐカルチャーマガジン

「年寄りを元気にする名医」マムシさんの話Vol.1

投稿日: 2015/06/15

『つなぐ通信』Vol.10夏号は、
毒蝮三太夫さん(79歳)を1日密着取材しました。
マムシさんは中高年にとっては、
『笑点』の“座布団運び”や
『ウルトラマン』のアラシ隊員でもお馴染み。
(本業は“俳優”なのです!)
1969年からはTBSラジオのミュージックプレゼント(MP)の
パーソナリティーを務め、今年でなんと46年。
名実ともに「ラジオ界のレジェンド」でもあります。

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・・・桜湯でのマムシさん
(撮影:貝塚純一カメラマン)・・・

4月29日(水・祝)、杉並区和田の「桜湯」で
MPの実況中継があるというので
取材に伺うことになりました。
午後は日野で「春の交通安全市民のつどい」の
トークショーに出演で、これにも同行です。
『つなぐ通信』の紙面だけでは伝えきれなかった
マムシさんのことをお伝えします。

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・ ・・桜湯のある東高円寺の駅前には
かつて「蚕糸試験場」があり、現在は「蚕糸の森公園」と
なっています。今回の「秩父特集号」は、
“蚕・繭”に縁がありましたね・・・

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・ ・・昭和の香りのする「桜湯」・・・・

午前10時25分頃に、MPの中継がスタートします。
9時くらいから、TBSのスタッフが現場の準備を始め、
お客さんが続々集まり始めた頃、
マムシさんのお弟子さんであり、マネージャーも務める
はぶ三太郎さんや、TBSのディレクターが
お客さんを盛り上げます。
「ジジイ、ババアっていう汚い日本語使いますが
告訴しないでくださいね。3年くらいかかりますよ。
相手だって生きているかわかりませんからね」

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・ ・・会場を盛り上げる、はぶ三太郎さん・・・

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・ ・・中継場は、桜湯の男湯脱衣場・・・

マムシさんが登場すると、ものすごい歓声です!
この日はサングラスにジャケット姿で登場。
普段はもっとラフなスタイルのようですが、
今日はこれから日野で交通安全のトークショーがあるので
ちょっと改まったスタイルで来たことを話し、
すぐにいつものリラックスしたスタイルに。

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桜湯の近くの杉並区堀ノ内には
日蓮宗の本山、妙法寺があります。
まずは地元ネタで、お客さんとの距離を縮めます。
母親が日蓮宗の信心をしていたことを話し、
子供の頃親に連れられてよく来たと、
ここが思い出深い土地であることを話し
みんなの気持ちをぐぐっとつかみます。

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・・・貝塚カメラマンもベストポジションで撮影!・・・

マムシさんには“座右の銘”として大切にしている
2つの言葉があります。
「病気の人を見たら、その人はお前の代わりに
病気になった。お前の不幸を代わりに
背負ってくれていると思うんだよ」
「人のお世話にならぬように、人のお世話をするように」
口はうるさいが信心深いお母さんが
いつも言っていた言葉です。

現在、マムシさんは聖徳大学客員教授となり、
介護福祉の仕事につく学生に
お年寄りとのコミュニケーションを教えたり
「介護」や「老人福祉」をテーマにした講演にも
引っ張りだこですが、
これも自然な流れといえるでしょう。

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・・・意外に多い男性ファン。マムシさんの“追っかけ”も!・・・

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・・・「主役はお客さん」というのが、マムシさんのポリシー。
「国防婦人会みたいな格好して、もんぺと作務衣で
カッコイイじゃない」と主役の座に引っ張り出します!・・・

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・ ・・桜湯の若奥さんとトーク。
元看護師さんで、お風呂でのぼせて倒れた方を
介護した話などをしながら、
お風呂の入り方をレクチャーしたり、
ここは看護師さんもいるから安心できる風呂屋だと
一生懸命宣伝してくれます・・・

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・ ・・脱衣所には「入浴安全心得」が貼られています・・・

MPの中継中はもちろん
中継がつながっていない時、
放送が終わってからも「介護」や「老人福祉」の
話は続きます。
この日は介護福祉士など
介護の現場に携わっている人たちの
給料が安いこと、1人で担当する人数が多く大変なこと、
そのため結婚を考えて介護の仕事をやめて転職した
若者がいたことを話します。

「介護をやっている方の給料を
もっと増やしてあげたいと思いませんか」(拍手)
「だからできるだけ自分で元気な年寄りになってください。
そう思ってオレはやってんだよ。
今日は少し元気になった?」(拍手)

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・・・中継がつながっていない時も話は続きます・・・

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マムシさんのTシャツを着ていた30代の男性は
よく見かける常連さん。
「どうしてオレの“追っかけ”やってるの?」
「社会福祉協議会にいるのですが、
年配の方達との接し方を学びたいと思って。
勉強させていただいています」
「ジジイ、ババア、っていうのをかい?
すぐにクビになるよ!」(爆笑)

この後の『つなぐ通信』のインタビューでマムシさんは
「オレのことを真似しちゃダメだよ。
喧嘩売っているように思われる。それはしらけるよ。
普通の人には難しい。だからオレがいるんだよ。
教えてできるものではないけど
“心根”を勉強するというのはいいよ。
ああいうやり方もあるということだよ」
と話してくれました。

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・・・MPの番組が終わったあとは膝を交えて
介護や老人医療などの話が始まります。そのあとは
サインしたり、記念撮影にも気軽に応じます。・・・

マムシさんは、聖路加国際病院の日野原重明先生(103歳)から
「話すことでお年寄りを元気にしている立派な名医ですよ」
との言葉をいただき、
それを自分の“使命”と決意したようです。

「まるで(お年寄りを元気にする)伝道師のようですね」
「宣教師ザビエルだね。いや日蓮かな(笑)」

「年寄りは甘えていてはダメなんだよ。
家族も大変だし、介護する人も大変。
介護士が少ないんだから。
だから元気で年をとれば、
若い人が自分もそうなりたいと思い結婚もするだろうし、
少子化にも歯止めがかかると思ってるんだよ。
みなさんの税金を使っているのだから
医療費を1円でも減らしましょうってね」

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・・・番組が始まる前や終わってからも
依頼されたサインを1人1人丁寧に書いています・・・

行政の方や議員さんが聞いたら手を叩いて喜ぶような言葉に
「選挙の出馬依頼もあるのでは?」と伺ったら
「ずいぶんあったけど、オレが国会で
“うるせぇな、このババア!”って言ったら
懲罰委員会にかけられる。謝らなければならないし、
めんどくさいよ。それに数の多い党に行かないと
質問もできないし。それよりこうして“野に下って”
言いたいことを言ってた方がいいんだよ」

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・・・放送が終わったら『つなぐ通信』用の
撮影をします。桜湯の女風呂で、
マムシさんは様々なポーズを取ってくれ、
サービス精神満点です!
(撮影:貝塚純一カメラマン)・・・

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・ ・・桜湯のスタッフの皆さんと記念撮影。
「銭湯は裏切らない」とサインされています
(撮影:貝塚純一カメラマン)・・・

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・・・時間ギリギリ、ようやく桜湯を出て
日野に向かいます・・・

日野に向かう電車の中でのインタビューや
日野のイベントの様子は次回お伝えします。

【文・写真:成田典子】

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