ヒロコさんの普段使いの金継ぎ
投稿日: 2013/04/14
・・・・『つなぐ通信』創刊号で紹介した伊東裕子さんの金継ぎ・・・・
『つなぐ通信』創刊号の特集
「 “使い込まれたものたち”は、美しい。」で取材した
“金継ぎ”へも多くの関心が寄せられました。
このところ金継ぎはかなり人気となっていますが
私がヒロコさんから初めて「金継ぎ」という言葉を聞いた
4〜5年前は、「キンツギってなに?」と、
全くのちんぷんかんぷん。
テキスタイルデザイナーのヒロコさんが、
どうして職人仕事のような「陶磁器の修復」に興味をもったのか
理解することができませんでした。
・・・・ヒロコさんが行った金継ぎ・・・・
・・・・・磁器が好きなので、金継ぎも磁器が多いようです・・・・
・・・・金で繕うのが「金継ぎ」、銀は「銀継ぎ」。
このような黒い漆のようなものは単に「繕い」と呼ばれているようです・・・・
ところが、金継ぎはもっとアートなものだったのです。
ヒロコさんが目指していたのは、単なる修復ではなく
金継ぎすることでさらに美しいものを生み出す
新しい美意識です。
ヒロコさんは金継ぎの第一人者の塚本将滋先生との出会いで
本格的に学ぶこととなりました。
・・・・割れてしまった若手の作家のお気に入りの磁器ポット。
漆のりでつなげた途中段階ですが、最終的には白と黒のコントラストを
活かしたいために、金を入れた金継ぎにしませんでした・・・・
・・・・まだ漆のりが盛り上がった状態ですが、丁寧に何度も
余分ののりを削っていき、平にきれいに仕上げていきます・・・・
昨年の12月に、ヒロコさんのお宅にお邪魔して
鍋をごちそうして頂きました。
使われているのはヒロコさんお気に入りの器ばかり。
骨董の器や、作家もの、そしてご自分で金継ぎしたものなど
いろいろです。
これらは、お客様用ではなく、もちろん普段使い。
「しまっておくなんて、もったいない!」
「気に入ったものほど、惜しみなく使うべき」
「壊れたら、繕えばいいのよ」
というのがヒロコさんの持論。
だから、金継ぎを習ったのです。
・・・端がかけた骨董の器に金継ぎして、ひじきを入れていただきます!・・・・
・・・・ふろふき大根をお鍋にしたアイディア料理。
柚をたっぷり入れた鶏そぼろをかけていただきます。・・・・・
・・・・柚をたっぷり入れた鶏そぼろ。
上品な美味しさに、いくらでも食べられます!・・・・
鍋をごちそうになったときは、まさか『つなぐ通信』で
取材して紹介することになるとは思いもよりませんでした。
しかし、修理して長く使う暮らしは
単なる「もったいない」だけではなく
新品には出せない味わいや、ものへの愛着が増すことが魅力なのです。
それを、芸術にまで高めたのが「金継ぎ」といえるでしょう。
人気が高まってきたのも頷けます。
ヒロコさん、金継ぎのある暮らしを教えてくれて、ありがとう!
【写真・文:成田典子】