つなぐ通信 Vol.18
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循環型社会は経済も底上げ修理して使うことが社会貢献に造的な機能を回復させ、外見的な汚れも整え、さらに50年使用してもらえるように修復します。この「再生」し「循環」するものづくりが岡本さんの哲学なのです。「きれいに新品のように仕上げるのではなく、使い込まれた肌合いなどを生かしていく特殊なフィニッシュワークが、僕の感覚的なノウハウです。お客様の着ている洋服、世界観などの話からお客様の好みがわかるんです。お客様のこだわりを汲み取り仕上げていく、きめ細かな仕事が支持されているのだと思います」 岡本さんは約20年間ヴィンテージ家具に携わるなかで、家具の状態が落ちてきていることを懸念していました。家具は銘木のチーク材が多く、昔のものは天然の樹齢100年以上のものが使用されています。木目がしっかり詰まって固いため長持ちしますが、チーク材の人気の高まりもあり、近年は植林による100年に満たない若い柔らかな木が使われるようになりました。70年代に入ると量産化しやすいデザインと加工に変化していっていったのです。「ヴィンテージには素材も優れ、現代では手に入れることのできない手の込んだ素晴らしい家具が多くあります。僕はこれMICHIO OKAMOTO WAREHOUSE〒192-0041 東京都八王子市中野上町5-3-4Tel.042-621-6380http://furniture.michiookamoto.com大きな鉢が置かれた入り口をくぐると、そこは別世界。鉄骨で組まれた高い天井からはシャンデリアが下がり、1階と2階にヴィンテージ家具と雑貨が素敵にコーディネートされている。目を引くのは、1階の左側のガラス張りの修復工房。岡本さんがリノベーションで一番こだわった場所だ。WAREHOUSEでは、自分が魅力を感じるアーティストのコンサートをすることもある。prole●1977年、東京都武蔵野市出身。大学生よりヴィンテージ家具業界にて家具の修復に携わる。インテリアスタイリストとして活躍。2007年独立し、店を構える。をもう一度蘇らせて使用することが、新しい製品をつくる前に行うべき有意義なことだと思い、修復を続けています」「ヨーロッパ圏の家具は、〝修理して使う〞ことを前提にしているため、釘を使用しない木組みが多いんです。糊付けも最低限にして、木に負担をかけない、職人が修理しやすいようなつくりです。僕は『修理して循環できるものづくり』を知ってもらうために『修理・修復工房』をお店に併設しています」 スウェーデンでは「循環型社会」のために、修理を依頼する側も修理する側も税を優遇する制度を2017年より導入しました。修理して使う社会は修理産業を振興させ、リペアなどの専門職人の雇用の拡大を望めます。また付加価値のある商品を求めるようになるために、質の高い商品が増え、経済全体が底上げされ、活性化するという考えです。循環型社会のモデルケースとして世界から高い関心が寄せられています。20TSU NA GU TSUSHIN

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