つなぐ通信 Vol.18
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17TSU NA GU TSUSHIN イツミヤ〒192-0053 東京都八王子市八幡町5-11Tel.042-622-8362http://itumiya.tamaliver.jp/長安は、主家を失った旧武田家臣を「千人同心」として組織化し、国境警備にあたらせた人物としても知られる。八王子市小門町(おかどちょう)にある産千代(うぶちよ)稲荷神社は、長安の代官屋敷内に陣屋(じんや)の守り神として創設されたもの。没後400年の2015年、敷地内に「大久保長安記念館」が建設された。小俣塾の塾生の一人が、温かい肌着の店「イツミヤ」の店主、中野智行さん。本業と同じく(それ以上?)力を入れているのが、愛してやまない大久保長安のYouTube発信。第1回からシリーズ化して分かりやすく、元子役だけありユニークな語りに引き込まれます!長安は、甲州街道沿いに八王子宿を作り、やがて「市」が開かれ、周辺の村々から生糸・織物が集まる集積地として発展。しかし昭和20年の八王子大空襲で市街地の90%が焦土となり、古い建物はほとんど残っていない。これからブレイクする大久保長安です八王子の基盤をつくった江戸の代官頭、大久保長安とは?イツミヤさんの「腹巻ショーツ」L・Mを各2名様にプレゼント!応募方法は37ページをご覧ください。Present大河ドラマで取り上げて欲しい江戸・八王子の立役者、大久保長安「それまで八王子にはあまり興味がなくて、こんな田舎臭い土地がずっと嫌いだったんです」 その考えが大きく変わったのは、田中正國さんとの出会いでした。田中さんは、かつて大手百貨店で次々に大型商業施設を立ち上げてきた敏腕マーケッター。しかしその結果、商店街が疲弊していったことに心を痛め「これからは商店主のために力を注ごう」と決意。小俣さんも、父親の代から八王子で商売ができているのは、「人が集まる栄えた街」であったからこそ。その遺産を土台にして仕事をさせていただいて今があることに、改めて気づいたといいます。「先人が努力して築いたものを、自分たちの世代で使い果たし、街を寂れたままにして生涯を終えるのは、若い人に申し訳ない。せめて未来の八王子の繁栄のために種まきをしておかねばと思ったんです」 小俣さんと田中さんは、これからの街の活性化には「アートやデザインの力」が不可欠と考えました。街の財産や小さな商店を魅力的に伝える発信力です。アーティストが集まれば「アート産業」へと発展します。そのためのバックアップでした。八王子は東京造形大学や多摩美術大学などが置かれている、アートの土壌のある地。目標は200人のアーティストに、空き家や空きテナントを活用したアトリエで活動してもらう「日本で一番アートが活発な街」。そのモデルケースもできはじめています。 小俣さんのもうひとつの活動が、八王子の繁栄の基礎を築いた「大久保長安」を、八王子内外に発信することです。長安は石見銀山、佐渡金山を開発して徳川幕府の経済基盤を磐石にし、「天下の総代官」と称された人物。代官頭として八王子に赴き、甲州街道に八王子宿を整備し、織物の集積地となった市を開設。武田氏家臣だった長安は、甲斐の国から養蚕の技術を伝え、「桑都八王子」の土台を築いた立役者でもあります。また浅川の治水工事を行い市街地を洪水から守るなど、多彩な才能を発揮しました。「江戸に食料や木材・炭などを送り、江戸の町づくりを支えたのが八王子で、それを指揮したのが長安です。江戸っ子も、八王子市民ももっと長安に感謝すべきだと思います」 小俣さんは、史料が少なく地元にもほとんど知られていない長安を「大久保長安の会」で研究しながら、ことあるごとに話し続けています。こちらの目標はNHK大河ドラマを実現させること。いわ みいちか いあさかわ写真提供:桃屋美術

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