つなぐ通信 Vol.18
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再生 循環Textile manufacture想像力溢れる織物をつくり続けた。誰もつくったことのない織物に挑戦し続ける。共通しているのは、儲けだけの安易なものづくりに走らず創造力と手間をかけることを捨てなかったこと。たとえ廃業しても、ものづくりの魂はつなげたい。ぜひ知って欲しい八王子の二人の「織りの巨匠」です。織物写真=大社 優子 文=成田 典子自社設備を最大限に生かした「281兆の3乗」の高付加価値織物 400年余りの八王子の織物史に、いや日本の織物史の1ページに、確実に名を刻まれる人物が、どこにもない独創的な織物をつくり続けた「みやしん」の宮本英治さん(70歳)です。機屋として70年余りの歴史を持つ「みやしん」は、当初着物地を生産していましたが、次の時代を見据え、70年代の後半、婦人服地部門を設立。独学で服地の織り知識を吸収し、アパレル業界の仕組みを学び、ファッションの観察眼を養いました。競合相手との差別化をはかるためには自社の生産設備を最大限に生かした〝高付加価値〞のある織物を生み出さなくてはなりません。たどり着いたのが〝ドビー織機〞を活用した「見たこともないテキスタイル」を開発することでした。「ドビー織機は、281兆の3乗という、無限大の組み合わせができるんです。つまり無限大の奥深く面白い生地がつくれるんですよ」 さらに宮本さんは、機屋自らクリエーションを発信し、問屋中心の流通経路も改革すべきと考え、直接デザイナーに生地を売り込みました。服づくりを支えている機屋や染色などの工場は、なかなか表に出ることはありません。12TSU NA GU TSUSHIN

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