つなぐ通信 vol.07 2014秋号
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旭酒造(株)と(株)能作の話は、クールジャパン機構の支援事業ではなく、「クールジャパン的」な事例です。4合瓶の日本酒が壁面にライトアップされてズラリ並べられた松屋銀座の日本酒売り場(写真提供:松屋銀座)2012年10月「銀座ファッションウイーク」で、松屋銀座と銀座三越がコラボして産地を盛り上げるイベントを開催③07TSU NA GU TSUSHIN 国境のないネット時代ではいまこそ精神的な国境が必要 「パリコレの上位人気ブランドの多くは、日本製素材を50%以上使っているんですよ。日本にはすぐれた素材産地やメーカーがある。3・11の震災直後、当時は松屋銀座にいたのですが、〝銀座を一緒に明るくしようよ〞と、ライバル欧米でブランド品買っているのはアジア人でしょういいものだから誇りを持って売りに行こうぜ! 富山県高岡市で「高岡銅器」の下請け工場として仏具などを作っていた能作は、下請けから抜け出そうとして錫100%の食器を独自に開発。これが「曲がる器」として話題を呼び直販を拡大。初めは〝失敗作〞と思った柔らかな錫の特性を活かした「逆転発想」のユニークな器なのです。「今まで下請け業で先が見えなかった人たちが、自分で商品開発しリスクを背負って売りに行った成功例ですよ。能作さんは都内で3店舗を展開。売り上げも上がっていて今度ミラノにも店ができる。技術は自分たちで、デザインは東京のデザイン会社に依頼しているのも成功の大きな要因と思う。注目するのは 〝能作に続け!〞と、新しいことを始める鋳物メーカーが高岡で増えたこと。美大を出た若者が職人として働き始めるなど、地方にあたえた影響は大きいと思う」すずしゃこうの三越さんに声を掛け、『銀座ファッションウイーク』を立ち上げました。その時に、日本の産地を銀座から世界に伝えようと提案。歩行者天国でジャパンデニムのファッションショーを行った。それは松屋のセリーヌの売り場で、デニムのバッグを見た時に、すぐ日本製のデニムと分かったから。バッグを製作しても生地が斜行しない、こんなにこだわったデニムを作るのは日本しかないですよ。しかし日本の生地の素晴しさを多くの日本の消費者は知らないんです」 それは長過ぎたデフレも要因して低価格志向に走り、日本素材をあまり使わなかった日本のアパレルの状況もあるようです。メイドインジャパンの素晴しさをもっと意識して欲しいという太田さんの願いは、次の言葉にもあらわれていました。「ネット時代になり国境が無くなって同質化しているでしょう。だからこそ精神的な国境がいるんだよね。精神的な国境作りをしないと、日本固有の文化の価値がなくなる。同質化しない固有のものを守り続けて行くことはとても大切で、それはまさに日本の地域社会から発信していくものだと思う」日本の織物産地の技術とデザイナーの感性を融合させて世界に発信している『ミナ ペルホネン』②※写真提供:①~④Textile Tree、⑤伊藤裕子右/2012年3月「日本を元気に」を合い言葉に日本製デニムの魅力をアピールした「銀座ランウエイ」⑤ 左/日本を代表するデニムメーカー広島のカイハラ(株)④

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