つなぐ通信 vol.07 2014秋号
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29TSU NA GU TSUSHIN  今年4月にオープンしたラスール麻生は、レゴ認定プロビルダーの「三井淳平アートミュージアム」を併設したホーム。吹き抜けのホールには、レゴで作られたフェルメール『真珠の耳飾りの少女』や大作・伊藤若冲『鳥獣花木図屏風』が。他にも館内の至る場所にレゴ作品が飾られています。2階にはレゴで遊べるプレイコーナーも。「一般の方がレゴを観に来られる他、このホームは面会がとても多く、土日は100名以上、1カ月で1500名が訪れます。レゴがあることで、ひ孫や玄孫に当たるお子さまを連れて来られる方も多いので、おむつ交換台をトイレに設置するなど環境を整え、赤ちゃん連れの方にも配慮しています」とライフアーティストマネージャーの広畑晶子さん。 現在、入居者は60代から100歳越えた方まで128名。寝たきりではなく、歩きまわる方や車椅子の認知症の方が多いそう。「認知症の方は表現の仕方が違うだけで、こちらが このホームのユニークな所は、特定のタイムスケジュールがないことです。「何曜日の何時にこれをします、というものがなく、食事時間やレクリエーション等、各ご利用者様に合わせたリズムで動いています。ユニット毎に、空いた時間に歌、書道、風船バレーなどそれぞれ。レゴのミュージアムが人気面会者がとても多いユニット毎に入居者のリズムに合わせて予定を組む認知症の方にきめ細かくスタッフが向き合って対応刺し子が得意な88歳の入居者の方。手元がしっかりしているのは、昔取った杵柄か。1時間で雑巾4枚ほど縫う。彼女はスキー1級とスポーツも万能だったとか。若いスタッフと会話。スタッフたちは人生の先輩である入居者から教えられることが多いと言う。右/玄関入ってすぐの地域交流ホールは、吹き抜けが気持ちよい空間。プロジェクターが完備され、天井に映写して映画を観ることもできる。左/レゴで作られた伊藤若冲『鳥獣花木図屏風』。近くで観ると立体感があり、迫力満点。一見の価値あり。他にも館内には、ゴッホ『夜のカフェテラス』、マネ『笛吹く少年』、モネ『散歩、日傘をさす女性』などが展示されている。 これは現場のスタッフに多くの判断が任されているから。利用者が違うと、求められるものも異なるため、現場スタッフの意見を細かく吸い上げて採用します。使うおむつパッド類もスタッフがこれ、というものに決めて、皮膚状態に合わせて種類を変える。すると床ずれを回避できます。畳でごろ寝したい方がいるからと、リビングに畳を置くユニットもあります」 利用者にとってよいことは、できる限り対応する。その姿勢はホーム内で使われている台ふきんにも表れています。「以前は買っていましたが、私に仕事がしたいと相談に来られた方がいて、得意なものを伺うと縫い物だと。そこで面談室のひとつを仕事部屋に衣替え。毎日出勤して縫ってくださいます」 ホーム全体では触れ合い喫茶や、ご家族と一緒にラゾーナ川崎への外出などのイベントが催されているとか。ライフアーティストマネージャーの広畑晶子さん。経験豊富なベテラン。「お一人お一人にできる限り時間をかけることを心掛けています」。このホームでは介護スタッフをライフアーティストと呼ぶ。※ライフアーティスト®は、社会福祉法人白山福祉会の 商標として登録されております。

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