つなぐ通信 vol.07 2014秋号
13/40

13TSU NA GU TSUSHIN 普遍的な価値観をつくりあげた柳宗悦の「民藝」と「用の美」 久野恵一さんは、武蔵野美術大学在学中に当時教授だった民俗学者・宮本常一氏に師事。日本各地の集落を歩き回った民俗調査の旅で、民衆文化の深さ、面白さを知りました。その後松本民芸家具の創始者・池田三四郎氏と出会い、民藝の魅力に引き込まれ、それから40数年、ひたすら1本の「民藝の道」を歩み続けているのです。 「民藝」とは一体なんでしょうか。言葉を知っていても、本質を理解している人は少ないと久野さんはいいます。多くの方は観光地などで売られている地域の「手工芸品=民芸品=民藝」と思っているようですが、「民藝」とは「民衆的工藝」の略。つまり〝民衆の日々用いる工藝品〞を意味した造語で、1925年思想家の柳宗悦等によって作られたものです。今ではすっかり定着した「民芸」という言葉ですが、多くは本来の「民藝」ではないのです。 民藝には、柳宗悦が示している理論的支柱があります(P15参照)。民藝の神髄は、実用性や〝手仕事〞の日用品の中にも美しさがあるという「用の美」だといいます。柳宗悦は無名の職人が作る日用品に「用の美」を見いだすと民藝の店「もやい工藝」は、鎌倉市佐助の緑豊かな住宅街にひっそりと佇んでいる。木造民家の店内には涼しい風が吹き抜け、夏はクーラーいらず。選び抜かれた日本の手仕事の品々が美しく並ぶ。取材をした7月末は「納涼の会」を開催中。全国から集められた籠類は久野さんの自慢。これほどの種類を揃えられるのは他にはないという。ここでは久野さんを中心にした「手仕事フォーラム」の学習会も開かれる。非会員も参加できる気軽な会だ。民藝とはなにかを知る『民藝の教科書』久野恵一監修(グラフィック社)¥2,000。全6巻シリーズ。各分野ごとに優れた民藝の作り手に焦点を当てた編集。民藝の理論、手仕事の素晴らしさを「次の世代につなぐ」意味でも必要と出版に踏み切った。つねいちむねよし写真=貝塚 純一 文=成田 典子 小鹿田焼の飛び鉋の8寸皿を1名様にプレゼント!応募方法は37ページをご覧ください。PRESENT

元のページ 

page 13

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です