つなぐ通信 vol.07 2014秋号
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10TSU NA GU TSUSHIN 後世に残り想像させるような自分ならではの神話を描く茹で上がるまでに、なんとなく側にあった野菜をスケッチしたんですが、それがどういうわけか妖精に見えた。その時のスケッチを元にしたのが『やさいのようせい/N.Y.SALAD』です。唯一本物のモデルのあるキャラクターですね。 音楽はとても好きです。制作中はいつも音楽をかけています。絵を描いているときに 手は動きますが 〝耳〞は自由なんですね。ジャンルに関係なく、聴きたいものを聴いています。例えばロマンティックな装飾を描いている時はそんな気持ちになれる音楽とか。吉田拓郎はずっと聴いていて、コンサートにも行きました。他にクラシックや70年代、80年代の曲と常に音楽をかけています。アトリエにギブソンのギターを置いているのですが、なかなか自分で弾くことはありませんね(笑)。 今、関心のあるテーマは神話です。自分の世界観を直接表現できることをやっていきたい。たとえば『DEVALOKA』は、世界観も含め自分がゼロから創造した神話の世界です。西洋的な神話のファンタジーもあり、オリエンタルなムードもあり、現代や未来などのSF的な要素もあります。もちろん取材したのはちょうど、作品がひとつ完成した時。「ちょうど描き終えた!気分なんですよ」と天野さん。左/天野喜孝さんの軌跡がわかる『イラストレーション別冊 天野喜孝』玄光社刊。中/タツノコプロ時代に手掛けた『ヤッターマン』のキャラクター。右/世界的ヒットとなったゲームソフト『ファイナルファンタジー』のキャラクター&ビジュアルコンセプトデザインも手掛けた。『イラストレーション別冊 天野喜孝』(玄光社刊)を2名様にプレゼント。応募方法は37ページをご覧ください。PRESENT都内のアトリエにて。外光豊かなこの仕事場で、数々の作品が生み出される。虚構の世界なんですけど、嘘とも言い切れない、ひょっとしたら本当かもしれないぐらいの神話です。 ビッグバンなど現代は宇宙について、かなり解明されていますから、ある程度状況をふまえ、想像力を膨らませて描きたい。神話は時代とともに、だんだん真実が明らかになっていく。しかしその先はどうなるか、このわからない世界を絵で表現するのが面白いな、と。四天王が戦ったらすごい!とイメージして、描いてみたり。 絵は残るものですから、何百年か後、これはこういう世界の絵だったと言われるようになると、意味が出てくる。京都で奈良時代の絵を見るとすごいなと思います。作品として素晴しい。そんな絵を描けたらいいなと思います。そう考えると、仕事の依頼で絵を描く以外のことをやらなきゃと思う。もちろん、依頼があれば嬉しいですけど(笑)。

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