つなぐ通信 vol.05 2014春号
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36TSU NA GU TSUSHIN 西村玲子のつなぐ暮らし捨てるのは心が痛むから とことん工夫イラストレーター、エッセイスト。日々の暮らしの中で感じたことを絵と文で綴り素敵なライフスタイルを提案。幅広いファン層をもつ。アクセサリーなどのクラフト制作活動のほか、現在インスタグラムに夢中。著書200冊以上。西村玲子 にしむられいこprofile シンプルな暮らしのためにはものを持ちすぎてはいけない、だからダンシャリと。この極端な考え方が私は好きではない。ものを持ち過ぎる、というのは確かに美しい行為ではないが、若い頃の好きで集めたものが、ここにこうしてある。若くて自分のセンスを高めるための一つの方法でもあったし、確かに楽しかった。楽しかった大好きなものたちがここにある。 さすがに、今はぽんぽんとものを買って帰るということはなくなったが、今の時代の美しいものに心惹かれる。どこまでも広がってあるので辛いが、買わないまでもそういうものの存在を知ることは大切である。我慢を重ねてポーンと買うこともある。それが部屋の空気や、服装のコーディネートの幅を広げてくれる。 そういうものを、いかに収納するか、捨てられないけれど使っていないものを、捨てるのではなく、いかに形を変えて素敵に出来るかを考える。今では手に入らない美しい布や紙、リボン、ボタン、いろいろ。 整理していると、きちんとたたんで何年も使っていなかったテーブルクロスなどが出てくる。コーヒーの染みなどがところどころに付いていたりする。捨てられないでいるのだから、何とかしなければと、綺麗な部分を四角に切り取り、もう一度布に仕立てる。違った趣が出て復活。白いクロスの小さな染みには、油性マジックで絵を描いて塗りつぶす。新しいものに、大胆にそういう作業は出来ないが、これなら自在に、我ながらうっとりとする。 捨てるのは簡単だけれど、心が痛むから、ひと工夫してどんどん使ってからなら、それで良しと、お達しを得られる気がする。いやね、貧乏性なのね、と人が笑いそう。実は私、屋根裏部屋にも自分にとってのお宝が眠っている。ここがね・・・。

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