つなぐ通信 vol.05 2014春号
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21TSU NA GU TSUSHIN 〝蒸しいため〞をきっかけにステージがどんどん広がった相手を最優先に考え、できることはすべてやる ボアメーザはこの4月で丸8年。今、生徒さんは約450名で3カ月に1回通ってくださいます。皆さん、いい方ばかりで、一度も嫌な思いをしたことがないの。楽しくなかったら絶対続かなかったと思います。 普通の主婦だった私は、夫の赴任で南米や中近東の暮らしを経験。向こうで多くのゲストをもてなしました。その経験を活かして、ボアメーザを始めたのが47歳の時。2年間介護していた義叔母を看取り、子供たちも大きくなったところで新しい挑戦の始まりでした。 当初は毎日生徒さんをお迎えして、初出版の「おくちにあえばうれしいです」上/テーブル中央のこでまりを手入れ。「器に大輪の花が咲いているから、テーブルセンターには控えめな花を」と若林さん。中右/アシスタントのゆうこりんと。「3年半前から来てくれて、とても助かっています。ゆうこりんが作るデザートは絶品で大人気」。中左/愛用のフランス製高級鋳物ホーロー鍋シャスール。蒸しいために最も適している。下/楚々とした白い花が満開に。食卓に彩りを添える。生徒を迎える準備は、隅々まで手を抜かない。の続編を年一回、レッスンの記録として出せれば理想だと思っていました。ところがレシピ本を出したら、私が提案した〝蒸しいため〞という調理法が話題になって。雑誌やテレビの料理番組に出るようになり、ステージがどんどん広がっていきました。 私がやっているおもてなしは、いろいろご用意して、お食事を召し上がっていただくことだと思われがちですが、実はそうではありません。遠方から足を運んでくださる、時間を作ってくださる、私のことを選んでくださる、他の生徒さんに気配りをしてくださる…そんな、訪れてくださるすべての方に感謝のシャワーを注ぐことがおもてなしだと思っています。絶対に不快を感じさせないように心掛けて、その時自分にできることはすべてやって、手を抜かない。 自分中心で考えると、どうしても自分の心地よさを追求しがちになるもの。でも人と向き合っている時は絶対に相手のことを最優先に考えます。相手が心地よければ自分も心地いい。相手が幸せを感じたら自分も幸せになれる。そんな気持ちに自然になることが大事だと感じるんです。長年意識しないでやってきたことですが、こうして振り返ると私が目指してきたことは8年間変わっていないですね。 こんな気持ちになれたのは、主人の影響が大きいです。かつての私はもっと自分中心でわがままな人間だったと思う。

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