つなぐ通信 vol.04 2013冬号
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09TSU NA GU TSUSHIN 畑でお手伝いをしている島田さんの次女。写真提供:島田雅也さん写真提供:小野地悠さん『昔野菜「固定種」を食べる会』 のエコツアー野口種苗研究所「野口のタネ」には、野口さんを支える若いスタッフがいます。自ら固定種の野菜を無肥料・無農薬で作り、タネの話の講師もする頼もしい先輩と農業好きの後輩です。野菜には地域文化の一翼を担う力があると思う(小野地さん)タネ屋をやることが夢タネの一生に寄り添って欲しい(島田さん) 島田雅也さんは、ずっと土いじりが好きで、学生時代は農協で区画を借りて栽培したり、自然農に夢中になったといいます。2年ほど前、スタッフ募集を見て働き始め、家族4人で店の近くに引っ越ししました。 「固定種のタネは家庭菜園向きです。家でタネを採るのだったら数株で充分。しかし1年目から期待しない方がいいですよ。いい野菜を選抜して2年3年 小野地悠さんは、タネ採り農家の岩崎正利さんの本に「野口のタネ」の名前を見つけて訪ねたのが野口さんとの出会いでした。店に通ってタネや野菜の育て方を聞くのが楽しく、講演会にも足を運びました。ミトコンドリアと『火の鳥』をつなぐ話を熱く語る野口さんを見て「タネ屋という仕事に、自分が求めていた文系と理系を超えた、科学と芸術をつなぐような仕事があるのではないか」と感じ2008年から勤務。 現在は飯能市の耕作放棄地を仲間と一緒に借りて固定種の無肥料・無農「野口のタネ」のスタッフのみなさん。左から島田雅也さん、野口勳さん、小野地悠さん。薬栽培を行い、「固定種を使った野菜作り」などの講師もします。飯能市などが「固定種野菜」で地域活性化を推進する活動にも参加しています。 また飯能市のエコツアー『昔野菜「固定種」を食べる会』なども主催。「固定種の良さは食べくらべをしてみないとなかなか分かっていただけません。タネを手に入れて、播く時期を知り、育つ姿を観察してみると、普通に売られている野菜がいかに不自然に栽培され、流通によって規制されているのかを実感します。その不自然な姿が人間の姿に見えてくるのです」と、固定種が消滅しつつあることに危機感を持ちながら活動の輪を広げています。とタネを採っていくと耐病性を持ち、どんどんその土地や気候に馴染んできて元気が出てくる。虫が来てもボロボロにならないくらいの生命力があるんです。タネというのは北国から来たり外国からも来る。条件の違う土地に植えられるのですから」 機会があれば小中学校などでタネの話をします。子供達には「一度食物の一生に寄り添ってほしい」といいます。タネを播いて実を結ぶまでを体験すると、ボロボロ涙するほどの感動があります。 「生かされているすべてのものたちに感謝する、そんな食育を一人でも多くの人たちに感じて欲しくて毎日毎日タネを全国にばらまいています。タネ屋でお金を使わなくても済むように、どうかタネを採ってください(笑)」

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