つなぐ通信 vol.04 2013冬号
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36TSU NA GU TSUSHIN  好きな友人だと、その人と会うのが嬉しくて、向こうから提案してきたお誘いには、よほどでない限り引き受ける。どんなに忙しくてもだ。「締め切り前ですごく忙しいはずなのに、西村さんはいつも涼しい顔しているわね。不思議」そういわれればそうだ。今のこの時間を楽しんで、帰ったらしゃかりきに働けばいいのだものという考えが板についてしまっている。好きな友人といるのが楽しい、ということに他ならない。上野の美術館でやっているル・コルビュジエの展覧会に行くことになった。普段は上野というのが我が家からは遠いような気がし西村玲子のつなぐ暮らし永遠の美しいものを、好きな友人と感動できる幸せイラストレーター、エッセイスト。日々の暮らしの中で感じたことを絵と文で綴り素敵なライフスタイルを提案。幅広いファン層をもつ。アクセサリーなどのクラフト制作活動のほか、現在インスタグラムに夢中。著書200冊以上。西村玲子 にしむられいこprofileて、避けていることが多かった。気の合う友人だし、コルビュジエだし、張り切る。 コルビュジエの設計による、国立西洋美術館での展覧会で、改めてこの建物の素晴らしさに目を見張る。雑誌『Casa』の5年前のコルビュジエ特集に、国立西洋美術館を手がけることになった経緯などが出ている。詳しいことはともかく、面白かったのが68歳の巨匠に依頼したら、その翌年、美術館の他に依頼されてもいない音楽演劇ホール企画展示パビリオンが加えられていたという。予算のなかった日本側は受け入れなかったらしい。受け入れてくれていれば、我々はその素晴らしい財産を目にすることが出来たのだ。ともかく、素晴らしい建築物は遺産。 何年か前に観たバウハウスの展覧会、今のパナソニック、その頃は松下の展示ホールでそれをやっていた。何となく知っていたバウハウスというドイツの美術学校、その全貌を知った。こんなところで学べたらどんなに素晴らしいことか。伊豆の玉峰館という旅館に泊まったとき、バウハウスの椅子があり、腰掛けてその素晴らしさに、お金を貯めて絶対買う、などと一瞬考えたがそのまま。 そういう永遠の美しい建物や家具、生活用品、変わることのないそれらを、目にすることが出来るだけでも、私たちは幸せになれる。好きな友人と好きなものを目にして感動できる。楽しいことです。

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