つなぐ通信 vol.03 2013秋号
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36TSU NA GU TSUSHIN  季節が変わるとわくわくとお店を覗く、買ってしまう。買ってしまうと早く着たい。この3段論法は、いくつになっても外せない。それと平行して、いや、それ以上に大切にしてきた物たちとの真摯な付き合い方を見つめ直す。これが今一番大事なことである。 友人と鎌倉の近代美術館を見た後、北鎌倉に行って駅前にある瀟洒な甘味処に入る。何でも川端康成氏がお気に入りの水羊羹があるとか。水羊羹を注文するつもりが白玉しるこに目が眩み、西村玲子のつなぐ暮らしいつまでも「好き」であるための工夫私はそれを。友人は川端康成御推薦の水羊羹と凄く迷ったが、私と同じものに。柔らかな白玉が俵型、それだけで新鮮。そういうものである。もちろん、美味しかったことは言うまでもない。 この白玉の俵型とおしゃれを結びつけるのはどうかと思われそうだが、これなのだ。普通に着ていると飽きてしまって、でも愛着のある服。これを新鮮に見せるための工夫。白玉は湯がきやすいように、平たく丸く。カーディガンはすっきりとシャツやスウェットに重ねる、長めのヒップが隠れるようなセーターの下は細いパンツ、といった決まりを自分に作っていないだろうか。 カーディガンの前をきっちり止めてセーターのように、その上にジャケット、ベスト、二枚重ねのカーディガン、カーディガンのボタンを無視してぐいっと片方に寄せ、ブローチなイラストレーター、エッセイスト。日々の暮らしの中で感じたことを絵と文で綴り素敵なライフスタイルを提案。幅広いファン層をもつ。アクセサリーなどのクラフト制作活動のほか、現在インスタグラムに夢中。著書200冊以上。西村玲子 にしむられいこprofileどでとめる。 ロングセーターの下にロングのボリュームあるスカートや、たっぷりしたパンツを短めに穿く。ロングセーターの裾のほうをつまんで、ブローチやピンで留めて動きを作る。ロングセーターの上にベストを重ねる、シャツを重ねる。頭の中でいろいろ思い描くだけでも何通りも。 いつまでも好きであるための工夫は、そんな新鮮さを見つけ出すことにあるかもしれない。部屋の家具や物の位置を変える。一人でお茶をするときテーブルを移動して外の景色を見ながら。じっくり本を読みたいとき、静かな喫茶店に出かける、これだけ長く生きてきたら、決まったパターンの中で過ごしがちだけれど、ほんの少しの変化が新鮮で楽しくて仕方ない、ということになるのでは。PRESENT西村玲子さん最新刊『ずっと!おしゃれ上手』(メディアファクトリー)の著者サイン本を5名様にプレゼント!応募方法は37ページをご覧ください。

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