つなぐ通信 vol.06 2014夏号
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09TSU NA GU TSUSHIN  靴を生業にするきっかけは、たまたま展示会用に依頼された靴が売れたことからでした。今までは自分が履きたいから作っていましたが、お金をいただき喜んでもらえたのです。「職業って楽しい!」という気持ちが芽生えはじめたといいます。当初はオーダー靴でしたが、注文が増えた事もあり今は既製靴が中心。といっても作っているのはすべて本人です。 曽田さんは、ちょっと傷や色むらのある革を「不良品」とする現代日本の認識に抵抗を感じていました。曽田さんの靴には廃棄革などがパッチワーク大量生産・大量廃棄に抗議する 曽田耕という作家の生き方工房の壁には作家の絵に混じり、子供の絵や工作がギャラリーのように。子供が保育園や学校から帰宅するとここは遊び場になるので、朝4時頃起床し早朝から仕事を始める。Creator1枚のヌメ革から作る大人気の「φ24カゴ」。独自に開発したスケールで作る。物理系の両親の血を引き数学的な要素も得意。道具にも美意識が高く、ミシンも白く塗るこだわり様。工房の椅子も手づくり。商品化したいほど魅力的。ストーブ用の薪。住まいと工房が一体化した温かさがある。購入していただいた靴は修理もするが、サイトでは自分でできる修理のやり方を教えている。「その方が愛着も湧くし楽しいでしょう」と。風に使われていますが、単なるリサイクルではありません。「僕は基本的に材料を差別しないんです。革は皆生命として平等なのだし、鞣して革になるまでにかかる労力もものすごい。キズも自然が作り出したひとつの〝美〞だし〝味〞。それを理解する人も増えたと思います」 長引く不況でブランド志向から作家志向へと価値観が移り、仕事や生活を発信する個人が憧れを抱かれる時代になってきました。「自分はずっと変わっていないけど、自分の作ったものをそういう気分も含めて買っていただいているんだと思う」と、冷静に分析しながら「靴作家」にはこだわらないクリエーションを広げています。なりわいなめ

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