つなぐ通信 vol.06 2014夏号
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22TSU NA GU TSUSHIN 漫画を読んで育った子供たちが漫画家になる時代 今は世界中で漫画が読まれる時代になりました。『あしたのジョー』も正式に翻訳され、また海賊版でもずいぶん流れました。アジアに旅行した時、子供たちが地べたに腹這いになって、頭を寄せ合ってすごく熱心に漫画を読んでいて。何を読んでいるんだろうって見たら私の漫画だったんです。嬉しかったですね。日本の人気漫画は特にアジアで、ほとんどタダみたいな海賊版になったことでバーッと広がっていったんです。それを読んだ子供たちの中から今、漫画家がたくさん出てきています。 そういった意味では、〝漫画の種〞を蒔いた感じ。あちこちから雑草のごとく漫画家がたくさん出てビックリしましたけど、皆日本の漫画の影響受けて育ったんです。 漫画は見ただけで、主人公が何を着て、何を食べて、どういう日常を送っているのかというのが一目でわかるでしょ?国境を越えて伝わりやすい表現なんですね。1.漫画好きにとってお宝のような直筆サイン色紙。あしたのジョーをはじめ、キューティーハニー、忍者ハットリくんなど、お馴染みのキャラクターが満載。2.数々の名作を生み出した、ちばさんの手を模した彫刻。実物大とのことで、実物の手と一緒にパチリ。 3.イラストや広告ビジュアルなど。応接室はまるで美術館のように、レアものが飾られている。 4.がっくりとうなだれたジョーの名ポーズ。「立て、立つんだジョー!!」と叫びたくなる。ハラして。出版社の会合や打ち合わせで実際に会うと、ああ、この人だったのかって、一気に意気投合しましたね。 今でこそ漫画は日本の代表的な文化のひとつと言われますが、私がデビューした頃、漫画は悪書だと虐げられていました。原稿料も安く、「漫画家イコール貧乏」で恥ずかしい。しかも世間から、「漫画は子供の情操教育を害する」と責められて。ある時、大阪のPTAのお母さんたちが漫画を校庭に集めて燃やしたことがあるんです。確かに中には、くだらない、子供に見せたくないものもあります。ただ漫画全てを悪書と決めつけられたことは、漫画家たちにとって、非常に忸怩たる思いがありました。特に手塚治虫さんは医学者でしたから、漫画で子供にわかりやすく性教育をしたい、情操教育もしたいと意識して描いておられて。だから、手塚さんは、この校庭で焼かれているシーンは絶対に忘れないと涙を流したとか…。そういう経験が、漫画家たちを奮い立たせたのかもしれません。 我が家の場合、母親が漫画が大っ嫌いな人で、いつも私が何を描いているのか、〝検閲〞していたんですね。本が送られると、私より先に全部開けて見る。それで時々呼びだされて、正座でお説教されていました。例えば、「これは大人向けのキャラクターがちょっとオイタした話だから」と説明しても、「私は世間に顔向けできない」と。家に恐い検閲官がいたので、私は萎縮してヤンチャなものは書けませんでした(笑)。じく じ1234

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