つなぐ通信 vol.04 2013冬号
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06TSU NA GU TSUSHIN  そういえばトマトもキュウリも昔はもっと味が濃く独特の匂いがありました。熟れたトマトはコクがあって実に美味しかった。「昔のようなトマトが食べられないのは化学肥料のせいですか?」と尋ねたら、水っぽく味が薄いのが「F1種」の特徴だというのです。 「F1種」の大きな特徴は、工業製品のように均質であること、生育速度が早いことです。しかし早く成長する反面、細胞密度が粗くなり、柔らかく大味になる傾向があるといいます。「曲がったキュウリでも安全で美味しい方がいいのに、どうしてそういう野菜が増えないのかしら」 「野菜市場で流通する6割以上が外食産業が購入し、多くが加工食品になる。家庭から漬け物樽が消えてしまい、個食の時代になったということですね」 「F1種」と「GM種」のことを少し補足します。「F1種」は「First Filial Generation(一代雑種)」の略。異品種を掛け合わせて作った一代限りの雑種のタネを支配するものは…自家採種できない「F1種・GM種」国内外から集められた約500種類の固定種のタネ。日本での種採りが難しくなっているので、日本の種苗会社は、アメリカやイタリアなど海外に原種を送り育ててもらっている。固定種は自家採種できるが「登録品種」は禁止期間がある。店の奥にあるのは羽を広げて飛んでいる『火の鳥』。「え〜っ、そんなに多いんですか」「野菜の味が薄いことは外食産業にとっては都合がよく、むしろ野菜農家に味のない野菜を要求しているんですよ」「え〜っ、どうしてですか」「味は自分たちがつけるので、なまじ 野菜らしい味 だとレシピが狂うからというのです」 このことを種苗会社の方から聞いたとき、さすがの野口さんも唖然としたといいます。「F1種」は外食産業にとっても都合のいい野菜だったのです。ことです。タネを採っても二代目は親と同じ野菜にはならず、姿形がバラバラな異品種になります。「固定種」のように、タネを採って親と同じ野菜を作ることができないので、農家は毎年高いタネを買わなければならないのです。 「GM種」はよく耳にする遺伝子組み換え(Genetically Modied Seed)の略。「F1種」は受粉で交配しますが、「GM種」は目的とする遺伝子だけを植物の細胞に組み込み「害虫に強い」植物などとして特許を取得。自家採種が禁じられ、タネを買い続けなければなりません。世界の種苗会社の多くは、遺伝子組み換え産業の傘下に入っているといいます。「タネを支配するものは世界を支配する」といわれるのは、タネを支配することで農業を支配し、世界の食糧を支配するとい「固定種」の野菜はここで買えます。●江戸東京野菜通信(大竹道茂の伝統野菜に関する情報ブログ) http://edoyasai.sblo.jp/●江戸東京野菜はここで買えます。 http://fv1.jp/chomei_blog/?p=4013■江戸東京野菜江戸・東京の人々の食生活を支えて来た「固定種」の伝統野菜を「江戸東京野菜」と命名しブランド化したもの。古くから地域の名前をつけたものが多く、練馬大根、亀戸大根、早稲田みょうが、寺島なす、金町こかぶなど34品目(2013年11月現在)が認定されている。販売所は下記HPでご覧ください。

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