つなぐ通信 vol.02 2013夏号
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09TSU NA GU TSUSHIN Story 三兄・隆夫さん(2年生時)、次兄・毅さん(3年生時)の絵日記。昭和26~27年頃の小学生の服装もよくわかる絵日記の表紙。写真後右より、長兄・実さん、三兄・隆夫さん、次兄・毅さん、写真前右より、四兄・秀夫さん、和子さん。助けあい輝いていた慎ましくも温かな戦後の暮らし ボストン在住の小沢和子さんが、病気入院中の長兄のお見舞いに絵日記を持って帰国したのは今年の3月でした。和子さんは昭和26年生まれ。長兄・実さん(14年生)、次兄・毅さん(17年生)、三兄・隆夫さん(20年生)、四兄・秀夫さん(22年生・没)の4人の兄がいます。故郷は滋賀県多賀町。多賀大社を中心に古くから神事が盛んなところです。当時小学生だった次兄・三兄が描いた絵日記には旧家に生まれ育った美しい暮らしぶりがとてもよく描かれています。 「まだモノがあまりない時代でしたが、日記を読むと季節ごとの行事や風習、子供にとっての学校や先生、友達の占める大きさ、祖母や両親の役割、家の手伝い、離れていた兄妹の心をつないだ小学生時代の絵日記昭和の兄妹兄弟同士の関係、子供の遊び方、等々、様々な情景が浮かび上がってきます」 長兄の実さんは弟達の絵日記に時折登場します。次兄・毅さんの絵日記では、お祖母さんが毅さんと兄の実さんと小さな和子さんを彦根に連れて行ってくれたことが書かれ、妹が荷物を持った兄たちに両手を引かれ嬉しそうに歩いている様子が描かれています。「おばあちゃんは、にぎやかな町でかいものをしやはりました」「よいこ三年生をかっていただきました」と、きちんと敬語が使われています。妹をかわいがり面倒をみる兄たち、お祖母さんへの尊敬心も伺えます。60年前の微笑ましい家族の暮らし、イキイキ輝いていた子ども時代には驚きに近い再発見があり、途絶えていた兄妹間の話しも弾みました。 「病気の兄にとって温かい素朴な暮らしぶりを記した日記は、大きな励みになると信じて、アメリカから持ち帰りました。我が家にとっては貴重な記録ですが、広く皆さんの目の届く所に出していただき、失われた何かを感じ取っていただけるならこんな嬉しいことはありません」と、ボストンからメールが届きました。お正月の餅つき、多賀大社の「古例大祭」で友人が馬に乗ったこと、和子さんも大好きな兄たちの「シャボン玉」遊びの絵日記が見られます。

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