つなぐ通信 vol.02 2013夏号
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06TSU NA GU TSUSHIN ドイツ留学中の明治の医学者が妻に宛てた106枚の絵葉書百年経っても色褪せない夫婦をつないだ異国の香り明治の夫婦Story  この絵葉書を見た方は、瞬時に絵柄の美しさと手書き文字の美しさに心を奪われます。風景写真、モードなイラスト、歴史絵画、風俗写真など百年以上前の外国のカラー絵葉書です。差出人は今年99歳になる松本文子さん(P7写真)のお父様。 お父様は、文子さんが生まれる前の明治43年(1910)から約4年間ドイツに医学留学していた内科学者。後に医大の学長や校長を歴任するなど日本医療の発展に尽くされました。この絵葉書は妻に宛てたもので百通以上あります。当時は34〜37歳、新進気鋭の内科医として貪欲に見聞を広めようとする姿が伝わってきます。 明治のこの時代は、海外渡航といえば船旅。ヨーロッパへは1カ月半近くかかったようです。横浜を出発し、上海、香港、シンガポール、マレーシア、セイロン、そしてスエズ運河を通り、フランスのマルセイユから留学先のドイツに入ります。お父様は寄港先々でお母様に絵葉書を出しています。人力車に乗った辮髪の中国人の写真には彩色が施されています。エジプトではピラミッドを見学しました。一度渡航べんぱつ

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