つなぐ通信 vol.02 2013夏号
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36TSU NA GU TSUSHIN  知らなかったら通り過ぎて出会えないものがたくさんある。知らないからそれに気がつかない。出来るだけ素敵なものや素晴らしい人には出会いたいと思う。かといって、しゃにむに情報を得るのはあまり好きではない。というか、この年齢になると情報の多さは苦痛になってしまうのである。出会いは一期一会、どこかでそれにつながっていると思う。そのときこそ出会いを深めていくことが大切かもしれない。 人の情報も有難いが、自分で探し当てた喜びはひとしお。青山のファッションショップで、魅力的な縦30センチほどのオブジェのような人形が5体吊るされていた。一目でアンティークな布やレースで出来ていると分かる。その中の一体を迷って購入。それから先日、大阪のデパートで彼女の作品に再び出会って、一番リーズナブルなコサージュを求めた。 作者のマノンさんはパリで舞台衣装なども手がけるオブジェ作家で、アトリエには山のようなそういう古着や、古布、造花が魅力的に収納されていて、さら西村玲子のつなぐ暮らしどこかでつながっている、素敵な一期一会に魅力的な作品になるのを待っている。長年の美しいものたちがこうして再び生まれ変わる。うっとりとそのコサージュを眺めながら、どんな人々がどんなシチュエーションでこの布たちをまとっていたのだろうかと想像する。 郵便受けに手紙が来ていた。大阪の友人Ⅰさんからで、封筒の裏にアンティークな布がシール代わりに貼られていて、レイアウトされた住所と名前が綺麗に並んでいる。そのデザインの美しさイラストレーター、エッセイスト。日々の暮らしの中で感じたことを絵と文で綴り素敵なライフスタイルを提案。幅広いファン層をもつ。クラフト制作活動や教室も主宰。現在インスタグラムに夢中。著書200冊以上。西村玲子 にしむられいこprofileに早く読みたい心を抑えて、しばし見とれる。 以前、封筒作りに凝ったことがあった。プラスティックの封筒型紙なるものを手に入れたからだ。包装紙やノートなどを使って作った。どこへ仕舞ったっけ。そういうこと、全てゆとりである。忘れかけているゆとりを常に手元に取り戻して生活していきたい。ゆとりが生み出す素敵な物事を取り戻したい。

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