つなぐ通信 vol.02 2013夏号
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29TSU NA GU TSUSHIN 特別養護老人ホーム練馬キングス・ガーデン東京都練馬区早宮2-10-22TEL.03-5399-2201http://www.n-kings.or.jpdata隠さない、忌み嫌わない。お別れの会で丁寧に送り出す中庭は聖書の言葉に基づいてデザインされ、ザクロやビワなど実のなる樹がたくさん植えられている。季節には利用者が自ら取って食べる姿も。気軽に外の風を感じられて気持ちいい。ていたといいます。その蓄積があり、入居者の方から希望する声が出始めたのをきっかけに、紆余曲折を経て実現に漕ぎ着けたそうです。 「初めて看取らせていただいた時のことは一生忘れません。百歳で言葉が発せられない方だったんですが、信仰熱心で天国への希望を持っていらっしゃいました。ご家族ができるなら慣れ親しんだキングス・ガーデンで最期を迎えさせてあげたいと。ただ、その方は病院で高度なスキルを要する中心静脈栄養をしていらっしゃって、戻るのは難しいとされていたんです。それをなんとか、と主治医と相談。スタッフと当時生活相談員だった私で送迎をして、最初は昼間だけここに戻り、様子を見るように。夜間も大丈夫だろうという時点で、地域のクリニックに担当してもらうことになりました。心配の声もありましたので、夜は私や普段直接ケアに入っていないスタッフが泊まることに。そして何日かして穏やかに亡くなられたんです。 今も亡くなる方がいると非常に辛いし寂しいのですが、最期までお世話できたことで次に向かっていけるところがあります」 今では9割ぐらいの方がここで最期を迎えられます。死を忌み嫌わず、隠さないのも、キングス・ガーデンの特長で、キリスト教主義に基づいたものといえるでしょう。 「最期の時は希望を持って天国に行くという信仰ですから、隠すことはありません。必ず入居者の方とスタッフが集まり、お別れ会をします。ひとりひとり御体に花をたむけてお別れを言います。ご希望があれば、お葬式もさせていただきます」 中には参列されているご家族に『天国へ行けるんですよ。だから悲しまないで、頑張って生きてくださいね』と励ましの声をかける入居者も。自分にもそういう時が来たら、皆に丁寧に扱われて送り出してもらえる。それを肌で感じることで、安心して毎日を暮らすことができる。心底、気持ちを大切にしてくれる、貴重な施設だと実感しました。

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