つなぐ通信 vol.02 2013夏号
28/40

28TSU NA GU TSUSHIN 「生活リハビリを推進しているので、ご自分でできることはやっていただきます。たとえばトイレは皆さん何らかの支援は要しますがオムツに頼らず自然な排泄をされています。ベッドから車椅子に乗り移る時も、できるだけご自分の力で何かにつかまって移れるように、スタッフが工夫しています」 ひとりひとりに合わせて対処することで、対応が難しい認知症の方でもだんだん落ち着いてくるといいます。 「人によって固執するものが違うので、その方が何にこだわっているのか、何が影響して不安定になるのか。日頃の動向や、その方の生活歴や家族関係などを理解して、接するようにしています。基本的には寄り添うようにしていますが、必ず落ち着くとは限りません。寝不足だったり、体調が悪かったり、原因が違うところにある場合もあります。一筋縄ではいきませんが、その方がなるべく平穏な暮らしができるよう、心がけています」 このように行き届いた個別ケアが評価されて、2011年には第一回介護甲子園で最優秀賞を受賞しました。 「職員が新聞記事を持ってきて、面白そうだからやってみたいと。私のところ入居者には愛情深く、ひとりひとりに応じて、こまめなケアを実践。家族同様に最期を看取りたいという思いに来た時にはすでに応募済みでした(笑)。結果的にはスタッフの成長もありましたし、介護者として私たちがやりたいことを意思統一できる機会にもなりました。今でも最優秀賞をいただいたことを恐れ多いと思いますが、職員の努力の成果があらわれてきた時期でしたのでタイミングが良かったのだと思います」 人生の最期をどこで過ごすかは誰もが考えることです。練馬キングス・ガーデンでターミナルケアを始めたのは、今から4年前。 「それまではほとんどの方が病院で亡くなっていたんです。3、4年、中には10年も家族のように毎日顔を合わせておつき合いしていた方でギリギリまで頑張ってケアさせていただいても、いよいよの時には病院に行かれます。そうなると、私たちスタッフはどんな最期を迎えられたのかわからない。もしかしたら寂しい思いをされていたかもしれないと心配が募り、やり切った感がないと感じていました。そして、その思いを持ったまま、新しい方を迎えるというのも複雑なものでした」 キングス・ガーデンは30数年前、日本で最初に筑波で誕生。筑波や同系列の川越では早い段階からターミナルケアを行っデイサービスにはボランティアの方々の支援により書道、絵、俳句など多彩なプログラムが提供されている。ピアノやギター、歌などの音楽プログラムも充実している。この日は理容師が来る日。ひとり千円でカットしてくれる。きれいさっぱりして、気持ち良さそう。左/和室はデイサービスのお昼寝時に利用。茶道など、和のプログラムが催されることも。右/2階のコーナーでは、隣接する公園の緑を眺めながら寛げる。デイサービスでは午前と午後にひとつずつ、リハビリをかねたプログラムを開催。この日はゲームで楽しんでいた。希望者はお風呂に入ることもできる。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です