つなぐ通信 vol.02 2013夏号
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27TSU NA GU TSUSHIN 写真=貝塚 純一 文=三浦 真紀われる方もいれば、「私の娘どこ行ったのかしら?」と声を上げる方、うつらうつら眠っている方、朝食がまだ終わっていない方とさまざま。ここでは必ず何かしなければいけない、ということはありません。不安を訴える人にはスタッフが傍に行って耳を傾け、食事はスタッフができるだけ1対1で手伝います。 「今は、入居者のほとんどが最重度の方。状況がそれぞれ全く異なりますので、皆で一斉に行動することにこだわらず、おひとりおひとりのニーズに合わせたケアプランに沿って、過ごすようにしています」と中島さん。 「体調がいい時には目の前にある公園に行ったり、体調がすぐれなかったら敷地内の中庭を散歩したり。スーパーやコンビニ、レストランが近くにあるので、気持ちが落ち着かない方はスタッフと買い物に行ったり、お昼を一緒に食べに行ったりと、必要に応じて臨機応変に対応しています。 最近では週末だけご家族と過ごされるなど、時折、お家に戻られる方も増えてきました。以前はそういう方は少なかったのですが、これから増えてくるのかもしれませんね。自分が過ごしてきた地域とつながりを持ち、帰りたい時に帰れるのは、安心に繋がるように思います」施設長の中島真樹さん。敬虔な信仰を持ち、運営に関わる。できるだけ理想の介護をしたいと日夜奔走中。心の時間では、『つなぐ通信』と取材スタッフを紹介してくれた。左/ボランティアが多いのも、この施設の特長。オープニングスタッフとして事務長を務めた方が、定年後ボランティアとして手伝っている。心の時間では司会を担当。右/キングス・ガーデン東京の理事長は牧師で、新約聖書の翻訳も行っている。中島さんは心の時間が終わると、ひとりひとりに声をかけ、顔を見て、手を握り挨拶。その人が今どんな状態か、何か変わったことはないかを確認する。反応はさまざまだが、入居者との近さが感じられて、心温まる。信仰が厚く、3歳から教会のピアノを弾いていた入居者が、賛美歌の伴奏をしてくれる。手に麻痺があり、普通なら演奏できないだろうが、さすが昔取った杵柄。ご本人のやり甲斐にもなっているという。

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