つなぐ通信 vol.01 2013春号(創刊号)
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08TSU NA GU TSUSHIN  「お気に入りの器を大事にしまっておくなんて、もったいないわよ!」 陶磁器好きの伊東さんが、金継ぎに興味を持ちはじめたのは約20年前。まだ「金継ぎ」ということばさえ聞き慣れない時代でした。骨董市で「繕い」のある蛸唐草の器を購入。器は気に入ったのですが、繕いがあまりにも稚拙だったので、いつか自分の手で金継ぎしたいと思っていました。しかし、教えて頂くいい先生がなかなか見つからず、4〜5年前に現在の師匠である塚本将滋先生に出会い、念願の金継ぎを学ぶことができたのです。 金継ぎは、割れたり欠けたり、ひび割れた陶磁器を漆で接着し、繕った部分を「金」で装飾していく日本独自の修理法のことです。西洋の修理法が限りなく破損前の状態に近づける「修復・復元」であるのに対し、金継ぎは修理跡を隠さず、ひとつの景色にテキスタイルデザイナー。アジアの布に魅せられたのがきっかけで、この仕事を選ぶ。日本の古い絣や焼き物などが大好き。現在フリーランスとして活躍中。金継ぎ用の「金粉」。割れた部分を漆で繋げたあとに、蒔絵のように金粉を蒔いていきます。しまっておくのはもったいない!壊れたら「繕い」すればいいの、いいものは惜しみなく使うべき。伊東裕子さん染め付けが好きな伊東さんの器に施した金継ぎの数々。縁の欠け、ひび割れの形が金装飾となり、新しい器に生まれ変わります。金継ぎをしたいので、割れた器を求めることもあります。左下の「蛸唐草」の器は、金継ぎ第一号の作品。

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