つなぐ通信 vol.01 2013春号(創刊号)
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25TSU NA GU TSUSHIN  横浜市の郊外にある「こもれび」は緑豊かな高台に位置する特別養護老人ホーム。眺望の美しさは格別で、天気がよければスカイツリーまで見えるとか。玄関に足を踏み入れると、犬のまめちゃんがシッポを振ってお出迎え。人なつこくて愛らしい様子に、思わず笑みがこぼれてしまいます。入居者が頭をなでたり、声をかけたり。時にはお散歩にもつき合ってくれる。まさにこもれびのアイドルです。 「こもれび」という名前の通り、館内は窓を大きく空け、外光をたっぷり取り入れた作り。一般家庭と同じように居間・食堂があり、その周りに個室10室を配置したユニット型になっています。つまり10人が1ユニットとなり、食事やレクリエーションなどはこのユニットごとに行うシステムです。介護スタッフもユニットごとに組まれ、とても家庭的。全部で150名の居住者が暮らしています。 それぞれのユニットをお邪魔すると、植物やソファ、カラオケなど飾られているものや置かれているものが違い、担当スタッフのセンスが発揮されていました。時にはユニットごとにホットケーキやお鍋を作ることも。外出もたびたびあり、よこはま動物園ズーラシアやららぽーと横浜などに出かけるそうです。10人とい「こもれび」という名がぴったりの、外光に満ちた建物。系列の施設が隣接して3つある。得意なことで頼られると、生きるエネルギーが湧く春を迎え、暖かくなってくると、園芸活動も活発化。土を耕したり、種を蒔いたり、苗を植えたりと、やることは多い。写真=貝塚 純一 文=三浦 真紀P25(花壇)、P26・27(ラベンダー畑、花壇作業)写真提供:フォーシーズンズヴィラこもれびう小回りのきく人数なので、臨機応変に動きやすいとか。スタッフや他の居住者とも仲良くなりやすいとのことです。 レクリエーションが充実しており、刺し子、編み物、書道、切り絵などの手仕事や、体操など。特に手仕事は昔とった杵柄とばかりに、腕を発揮される入居者もいらっしゃるとか。 「心の病気もあり、人とのつき合い方があまり上手ではない入居者の方がいらっしゃいました。しかし、編み物という得意なことを始め、やり甲斐を持っていただいたおかげで、劇的に変わられました。社交的になり、待てなかった場面でも待てるように。余裕が出て穏やかになられ、今はとてもいい感じで暮らしていらっしゃいます」とケアマネージャーの粒来佳代子さん。やはり好きなことをするのが精神的にもよいのでしょうか? 「もちろんそれもありますが、当てにされる、誰かに頼りにされるということが、エネルギーにつながるのでしょうね。玄関には手仕事の小さいショップがあるのですが、その方はたびたび商品をチェックしに来て、数が少なくなるとすぐに作ってくれるんですよ」

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