つなぐ通信 vol.01 2013春号(創刊号)
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14TSU NA GU TSUSHIN  昭和の時代は、喫茶店や商店街などにあたりまえのようにあった広告マッチ。当時の暮らしを映し出す貴重な広告マッチラベルを所蔵していたのは、『つなぐ通信』のアートディレクター、辛嶋陽子のお母さんです。明治生まれのお祖父さんが昭和の初め頃より集めていたものを、お父さんからお母さんへと受け継がれました。そのコレクションはスクラップブックに3冊。昭和前期の三越、千疋屋、神谷バー、画廊喫茶ルオーなど、東京の洒落た有名店も多く、九州から頻繁に東京へ出かけていたのか…と。教師だったお祖父さんを物語るように、本郷や小石川の喫茶店やバーのマッチも目につきます。大正から昭和初期のアール・デコの影響を受けたマッチ、中原淳一や蕗谷虹児のような少女画があるかと思うと、思わず吹き出したくなるコピーもあります。おそらく多くは自分の足で集めたものでしょう。ハイカラなレトロモダンなデザインに惹かれることはもちろんですが、それがいったいどんな店だったのか…お祖父さんはどんな人だったのか…思いが巡ります。お祖父さんと孫娘を「つなぐ」昭和のマッチ箱コレクションになりました。母が大事に持っていたのは、祖父から受け継いだ驚く数の広告マッチラベル。茶色のスクラップブックに張り付けられた様々な業種のデザインからは今も色褪せない昭和モダンの暮らしと、祖父の軌跡が…「近代人の味覚に贈る」「サンドウヰッチスタンド」のコピーがモダンな時代を感じます。「本郷バー」の白ヒゲの老人は、文人かな?行ってみたいお店です。(上)伊勢丹の新宿本店開店は昭和8年。この頃でしょうか…(下)東急東横店のこの建物は、昭和8~9年に建てられたもの。当時の東京名所でした。(上)千疋屋の電話番号もまだ6桁!(下)「電気ブラン」で有名な神谷バー。今では渋い老舗も当時はモダンだった。祖父のマッチ箱コレクションno.01デパート創世記…あの老舗のデザイン…洒落者はここで…

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