つなぐ通信 vol.01 2013春号(創刊号)
12/36

12時を重ねたコンクリートの壁とアンティークのインテリアが温もりを感じさせる「SOMETIME」「SOMETIME」の店内で撮影した写真をアルバムジャケットに採用したアーティストは数多い。これは『JOHNNY HARTMAN LIVE AT SOMETIME』日替わりで毎日上質なジャズのライブが楽しめる「SOMETIME」。好きなお酒とともに、季節ごとのオリジナル料理も楽しみ。●東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-31-B1F ☎0422-21-6336 11:00~24:00(コーヒータイム11:00~18:00、リカータイム18:00~24:00)います。受け狙いではなく天然だと…。 一方ではシャイな一面もあり、斬新な自分の店とは違う「熱燗におでん」という店が好きで目立たないように一人で飲んでいる。しかしすぐに人が集まって来るような華があったといいます。藤川さんは野口のそういう自然な人間性が「カッコいい」のだと。「男が憧れる魅力」だったのかもしれません。 店という空間を通して人を感動させたり驚かせたりするのが大好きだった野口伊織。彼は80年代、90年代もケーキ店、和食屋などさまざまな店を作り続け、2001年にこの世を去った。享年58歳。彼の意志は家族やスタッフが引き継ぎ、新店舗を含む十数軒を守り続けています。 「野口が本物の素材にこだわってお店をつくってくれたおかげで、どの店も年月を重ねるほどに、使い込まれた〝いい味〞が出てきているのです。これには本当に感謝しています」満理子さんの言葉が物語るように、本物の素材にこだわって作り上げられた店は、ほっとするような居心地の良さがあります。若いときから店に通い詰め、そこでプロポーズをしたというご夫婦が、今もお子さんを連れて来店することもあるとのこと。店の歴史は人の歴史。たくさんの人の思い出とともに、野口のつくった空間はこれからも続いていきます。天才肌の店作り度肝を抜く創造空間「SOMETIME」の入り口 宝箱やスピーカーをテーブルにして、ブランコの椅子を置いたカフェ「西洋乞食」は、アンティークショップに紛れ込んだようなインテリア。「SOMETIME」では、シカゴやニューヨークの街並みと映画「ウエストサイドストーリー」のイメージを再現。コンクリートとレンガを組み合わせた空間に非常階段を据え付け、中央にグランドピアノを置いた。こだわり抜いた内装と斬新な空間演出で、次々と人を惹き付ける野口の店。後を追うように街にはおしゃれな喫茶店やレストランが登場し、パルコが進出する80年には、吉祥寺は「若者の街」、「喫茶店文化の街」と呼ばれるようになっていました。 「子供のような天真爛漫なところがあった人でした」と、妻の満理子さん。店作りに夢中になりすぎて、プロの設計士さん相手にライバル意識を燃やして意見を戦わせることもしょっちゅう。「SOMETIME」のレンガの壁の一部を、完成後に「このほうが雰囲気がいい」といってガリガリと削ってみたり、自分のこだわりにはとても頑固。そうかと思うと、知りあいのお葬式に行ったとき、ワイシャツの下に着ていたスーパーマンのTシャツが透けて見えて、クスクスと笑われたこともあったといKichijyoji

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です