つなぐ通信 vol.03 2013秋号
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TSU NA GU TSUSHIN 大人のまち物語第三章﹇西荻窪﹈アンティークの街・西荻窪ふだんづかい『魯山』の流儀魯山店主・大嶌文彦さんを一躍有名にしたのは2001年『芸術新潮』の目利きたちの対談で場を凍らせた、強烈な一言。「白州正子さんてほんとに目利きだったんですか」タブーを恐れず真っ直ぐ向き合うから作品を持参する作家も後を絶ちません。魯山店主 大嶌文彦のスタイルおおしまふみひこ 今や西荻窪といえば「アンティークの街」。駅北口を出た北西部の「骨董通り」と呼ばれる一画に特に集中していますが、骨董古道具、リサイクル、古着、中古レコード、古美術、西洋アンティーク、ヴィンテージショップなど60数店舗が、駅をはさむ東西地域に点在。無料で「西荻窪アンティークマップ」も配布されているので、マップ片手にショップ巡りをしている方も多いようです。   なかでも一目置かれているのが、昨年30周年を迎え西荻では老舗の部類に入る『魯山』です。店主の大嶌文彦さんは「目利き」として取材されることも多い有名人。「うちは食器屋ですから」というように、骨董も陶芸家の器も同等に扱っている希有な店なのです。しかし『魯山』が凄いのは、店内が醸し出す空気感。江戸の古伊万里、昭和初期の白磁、若手作家の器があるかと思うと、古い箪笥の上に鉄の廃材の花器、アルミ缶を叩いて作った茶托が、まるでオブジェのように置かれ、すべてが心地良く調和しているのです。空間の仕立て方が実に見事です。10

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